滿城春色宮牆柳

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避けがたいほどの

それはずるい」
「ええ。親を殺したとたんに、この世界とはべつな異次元が開け、殺した当人はこの世界に対しては幽霊になってしまうとか」
「それも釈然としませんね」
「もともとタイム・マシン自体がよくわからない存在だから」
「それは言えますな」
 画面の二人が笑っている。
 その笑顔が揺れ、田島の瞼《まぶた》が重くなった。
 夢の中で父の顔を見た。父は田島が小学生のときに死んだ。面差しはぼんやりと覚えている。父を知る人の話では、田島は父そっくりになって来たという。本当だろうか。自分ではよくわからない。
 だが、夢の中に現われた父は、鏡の中で見る田島自身の顔とよく似ている。
「元気かね」
 父は他人行儀の声で言う。
 父としては若くして死んでしまって、子どもに対して申し訳なく思っているのかもしれない。
「はい、元気です」
「しっかり勉強しろよ。つまらん遊びをしちゃいかん」
 田島の顔が火照《ほて》った。
 ——親父《おやじ》は、俺《おれ》が先週いかがわしい女と寝たのを知っているのだろうか——
 女の裸形が脳裏《のうり》に広がった。
 ——ああ、いかん、こんな夢を見ては——
 しかし、女はますます淫《みだ》らな部分をあらわにする。父の眼《め》が光っている。いくらなんでも親父の眼の前で女を抱くわけにはいかない。ほとんど言葉を交わしたことさえない父親が、避けがたいほどの威圧で田島の行動を束縛している。
 ——今日はやめておこう——
 夢はそのあたりで深い眠りに変わったらしい。

「あ、いけない」
 田島一郎は布団を蹴《け》って跳ね起きた。時計は十二時を廻《まわ》っていた。髭《ひげ》を剃るひまもない。
 昨日の背広に昨日のワイシャツ。ネクタイを握って外へ飛び出した。
 研究所の門に駈《か》け込んだのが一時五分過ぎ。すでに教授は作業着に着替えて待っていた。
「申し訳ありません」
「ああ、ご苦労さん」
 他の助手たちの姿は見当たらない。
「今日は私一人なのでしょうか」
「うん。まあ、かけたまえ」
「はい」
 教授は椅子《いす》に腰をおろし、タバコを一本ゆっくりとくゆらす。
「君は高校時代にラグビーをやっていたんだって?」
「はい」
「ポジションはどこかね」
「フォワードです。主に右のフランカーでした」
「道理でよい体をしている。研究室の連中はみんなひよわでいかん」
「はあ?」
「実は……君に時間旅行に行って来てもら


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