愛は秋が深まるに

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世紀もの間送ら

傭い労働者の妻でさえ、亭主が昼食に帰ってきた時にもってくる日給で晩飯の仕度をしたのである。夫をもたない彼女たちの頭のなかにはいつも次の食事の費用をどうするかということだけしかなかっただろう。朝のスープや簡単なパン一片の、そして出来れば昼の粥の用意さえあれば、彼女たちは健康である限り満足して藁床で昼の衣服をかぶって眠りについたことだろう。そしてまた真黒になって働かなければならない朝がくる。
 だがドイツ中世都市の日常生活にはわが国の現在のように、駆けずりまわるほどの忙しい仕事があったわけではない。彼女たちは仕事がありさえすれば喜んで働いたことだろうが、実際はそれがなかなか難しかった。オーストリアの歴史家ヘーアは中世後期にドイツの都市が衰退していったのは、これらの婦人の巨大な労働力が男性によって駆逐されたせいだとまでいっている。商業が発達した大都会ならいろいろな下働きの口はあったが、ハーメルンのような小都市では仕事にありつくことがすでに大仕事であり、屈辱的な経験であった。だからこうした貧民の多くはなかば喜捨にたよって暮していたのである。
 同じニーダーザクセンにあり、規模もハーメルンとそう違わないゲッチンゲンの町では、一五世紀に年三回行なわれた祭の際に喜捨を貰いに集まった貧民の数は、市外から来たと思われる者も含めて三〇〇〇人といわれる。一五世紀中葉でも一六〇〇人以上の人数が記録されており、当時の市の人口を考えるとこの数は大変大きなものである。市の人口のほぼ三分ノ一が貧民という自覚をもっていたことになる。そしてその多くは女手ひとつで世帯を支えなければならない未亡人や未婚の母親たちであったと考えられる。
 そのうえすでに述べたように下層民の婦人は祭の踊りに参加することも許されなかった。同じ年頃の男女がきらびやかに着飾って笑いさざめき、打ち興じる町をあげての大騒ぎの最中に、彼女たちは舞楽の響きを遠いものとして聞きながら、喜捨を求めて右往左往していたのである。社会的にも経済的にも、そして精神的にも彼女たちは差別された生活を何世紀もの間送らされてきたのである。
 彼女たちの唯一の希望となりえたかもしれない子供たちの将来もまったく暗いものであった。子供はすでに生をうけた瞬間から生命の危険にさらされていた。堕胎によって、陽の目を見ずに闇に葬られてしまう子供の数は大変多かったといわれる。一五三二年にカール五世が出したドイツ最初の刑法法令集『カロリーナ』(三五、三六項)では堕胎は拷問ならびに死刑をもって禁じられていたし、チューリッヒでも子供殺しは溺死刑となっていた。また茨の床に寝かされたまま生き埋めの刑を執行されるところもあった。こうした刑の厳しさからみても、闇に葬られた子供が少なくなかったことが想像される。たとえ無事に生まれても育つ子は少なく、二〇人も子供を生みながら一人二人しか生き残らなかった、不幸な夫婦は数多くいた。
[#挿絵(img/fig28.jpg)]
 ニュールンベルクの市参事会員コンラート・パウムガルトナーは二一人の子供を授かったが、一四六四年に死去した時、残ったのは息子五人と結婚した娘四人だけであった。アウグスブルクの年代記作者ブルクハルト・チンクは最初の結婚で九人の子供を授かったが、六人は幼くして死亡し、二回目の結婚をした後、妻でない愛人との間に二人の子供をなしたがその一人はすぐに死亡し、三回目の結婚で四人の子供をなしたが、二人しか生き残らなかったといわれる。この例は幼児死亡率が高かったことばかりでなく、母親の死亡率も高かったことを示していると考えられる。産褥熱で死亡する母親の数も極めて多かったことだろう。
 現在のような産児制限の方法は知られていなかったから、皆多産であり、有名な画家デューラーの父も一八人の子供をなしている。皇帝カール四世のように息子ヴェルツェルが生まれると、その子供と同じ重さの金一六マルクをニュールンベルクからアーヘンまで贈ることが出来たのは、まさに皇帝だったからであり、大多数の人間、特に下層民にとっては子供の誕生は大変な経済的負担であった。子供が生ま


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